注の付け方

ここ数日、論文を中国仕様に改める作業を行っているのですが、
(言語は日本語なのですが、体裁を中国仕様にする必要がありまして。)
戸惑っているのが、注の書き方です。

参照した先行研究については問題ありません。
著書の場合は、著者名、書名、出版社名、出版年、該当ページ、
論文の場合は、著者名、論文タイトル、雑誌名、号、出版年を記すということで。

奇妙に感じるのは、こうした参考文献と同じ様式で、一次資料についても注記することです。
たとえば、『漢書』礼楽志の一部を本文に引用する場合、

~~『漢書』巻二十二・礼楽志に、次のような記述が見えている。
  ……(引用文)……
      ※〈巻二十二〉の部分は、場合によっては記さないこともあります。

というふうに、本文中に出典を明記すれば十分だとこれまで認識していましたが、
最近の中国の学術論文では、本文に原文を引用した上で、その注に、

①『漢書』第22巻,中華書局,1975,第1046頁。

といった体裁で、書誌情報を記しているのですね。

ページ数まで示せば、あとで見る人(自分も含めて)が楽でしょう。
本文の校訂など、出版に至る作業に携わった人々への敬意を表する意味もあるでしょう。
また、昨今はネット上に多くのテキストが公開されているので、
それらではない、たしかな出版物を目睹したのだと示す意味もあるのかもしれません。

それでも、どうにも腑に落ちないのが、
こうした一次資料を、研究の成果である参考文献と同列に並べていることです。
(中国でも、一昔前の論文にはこうした体裁は認められません。)

最近は、日本の若い研究者も中国様式で論文を書かれる方が多いですが、
こうした資料の質的差異にどこまで自覚的であるか、一抹の不安を覚えることがあります。

ただ、皆が知っているその理由に、私が思い至らないだけなのかもしれませんが。

それではまた。

2019年9月23日