何も思いつかない日

今日は何も書くことを思いつかない日です。
そんな日はあって当たり前なのに、ちょっと物足りない、
と感じるのは、自分が相手のことを、研究対象と見ているからでしょう。
今日は何も収穫がなかった、というふうに感じているのですね。

過日、内閣文庫で明版の『陳思王集』を閲覧しましたが、
この出版者は、曹植のことを同じ世界に住むちょっと前の人くらいに思っている、
と、その序を書き写しながら感じました。

前近代の人々のコメントを見るたびに、そう感じます。
彼らと自分とは、すでに住む世界が違っている、これは厳然たる事実です。
ですが、古人を“研究対象”と見るのは、相手に失礼だし、浅薄で傲慢なことですね。
本当は理解が及んでいないものを、自分の掌中に載せたつもりでいるのですから。

ところで、東京へ行く機会があれば、
必ず国立博物館の東洋館に立ち寄ることにしています。
何か目当てがあってもなくても、様々な文物に再会するために向かいます。

古い時代の物や言葉には、すぐにはぴんと来ないものが多いです。
彼らはなかなかこちらに心を開いてはくれません。
ですが、ちょっと風変わりな隣人と思って付き合っていけば、
そのうち知り合いに、更には友人になることもできるかもしれません。

それではまた。

2020年1月28日