万人に言えること

こんばんは。

『曹集詮評』のテキスト校勘を少しずつ進めています。
曹植の作品は、唐宋時代の類書に引かれて伝わっているものがかなり多く、
そうしたテキスト間には、細々とした文字の異同が交錯していて、
それらをひとつひとつ確認していくのは、実に細かい神経を要する作業です。
この作業に用いた目をふと日常生活に振り向けてみると、愛すべきテキトウだらけですね。

また、文学作品を読むときは、
細かい周波数のアンテナを張って、言葉の端々から様々なものを読み取りますが、
このアンテナも、そのまま日常生活に対して向けるとたいへんなことになってしまいます。

文学研究という姿勢をそのまま社会生活に持ってくると、不都合なことが多いかもしれません。
だから、普段の生活では、スイッチを切っておいた方が安らかでいられます。

けれど、別の見方をするならば、
日常生活では何かと不都合なこうした性質も、文学研究にはプラスに活きると言えます。

どんな性質も、それ自体がダメだというものはないと思います。
欠点を矯正して生きやすい人生を往くよりも、
その特性にもっと磨きをかけた方がずっといいと思う。
その際に必要なのは、自らが知る自身の価値、本当の意味でのプライドです。

2021年3月2日