昔のメモに救われたこと

こんにちは。

十年ほど前の手帳をなんとなく読み返していたら、
次のようなメモが目に入りました。

「みんなの意見」というものは案外正しい。
ただし、その集団の英知を最大限に引き出すためには、
次の三つの条件を満たす必要がある。

1、集団内の各人は、自ら進んで考え、各々の結論に辿り着くこと。
2、問題に明確な答えがある場合で、最終的には現実と照合できること。
3、集団内の全員が同じ問題に対して答えること。

問題意識の正しい共有をいう3は当然のことでしょう。
2は、“正しい”結論のない現代社会の諸問題には当てはまらないかもしれません。

一方、その意外性もあって、非常に強く惹きつけられたのが、1の条件です。
各人がそれぞれ様々に考えてこそ、より正しい解に近づけるというのは、
「集団」という言葉から想起されるイメージとは違っていました。

これは、レン・フィッシャー著、松浦俊輔訳
『群れはなぜ同じ方向を目指すのか?:群知能と意思決定の科学』
(2012年、白揚社)によって得た知見で、
ちょうど担当していた「共生社会論」の中で紹介したのでした。

あのとき受講していた学生さんたちの中で、
誰か一人でも、この話の内容を覚えている人はいるだろうか。
たとえいなかったとしても、ほかならぬ今の自分が元気づけられました。

2022年10月5日