宴席詩歌と夜を疾駆する車
本日、曹植「当車以駕行」(05-35)の訳注稿を公開しました。
過日、その時点での不明点を列挙した作品です。
その後、いくつかの疑問点は氷解しました。
「主人離席」と「顧視東西廂」についてはまだ曖昧なところを残していますが、
今のところ、次のように考えています。
「主人」がもともと着席していたのは「玉殿」で、
その「玉殿」の両脇にある「東西廂」に大勢の賓客が座している。
だから、「主人」は中央の「玉殿」にある自身の座を離れ、
左右東西に広がる空間いっぱいに居並んでいる賓客たちの方に向かって、
(その遊宴空間には、管弦の調べが鳴り響き、鼙舞や鐸舞が披露されています。)
「お楽しみはこれからだ」と告げているのではないか、と。
ところで、本詩の題名は、「車以駕行」の替え歌であることを示しています。
「車以駕」とは、車に乗って出かけることを意味するでしょう。
遊宴が夜にわたり、車を連ねて園内を疾駆する情景は、
たとえば、曹植「公宴」(04-01)にも描かれているところです。
本詩の「主人」は、席を離れて、居並ぶ賓客たちに向き直り、
車を飛ばして夜の宴に突入しようと誘っているのではないでしょうか。
(もし「明灯」が車上にあるならば、それが風で消えないか心配ではありますが。)
2025年10月15日