「宜」という助語詞(一昨日の訂正)
一昨日の曹植「大魏篇」の一部を引いた覚書きについて、
本文の訓み下しを次のように改めました。
左右宜供養 左右に 宜し 供養す、
中殿宜皇子 中殿に 宜し 皇子あり。
先には、「宜」を「宜しく……すべし」「……に宜し」と読んでいたのですが、
この語を、語勢を助ける詞「助語詞」ととる王引之(『経伝釈詞』巻5)に従いました。
(『経伝釈詞』は、『毛詩』周南「螽斯」等を引いて説いています。)
以前の読みのようにすると、二つの「宜」で文法的な意味が異なってしまいます。
上は「供養」という動詞が続き、下は「皇子」という名詞が続きますから。
丁晏『曹集詮評』巻5が、上の句の「宜」を「為」に作るのは、
(『宋書』楽志四、『楽府詩集』巻53、『詩紀』巻13は「宜」に作ります)
二つの「宜」の扱いに困惑し、合理化を図ったためかもしれません。
ですが、これを合いの手のような言葉として捉えるならば問題ありません。
歌辞である本作品に用いられた「宜」としてはぴったりです。
2025年5月15日