『世説新語』と曹植

こんにちは。

『世説新語』には、曹植への言及があまりありません。

ひとつは、昨日言及した、曹丕に殺害されそうになったのを、母の卞太后に救われた故事。
もうひとつは、文学篇所収の次の有名な故事、
曹丕が曹植に、七歩歩くうちに詩を作れなければ大罪に処するとしたところ、
曹植は声に応じて、スープの豆とこれを煮る豆がらの詩を作り、曹丕を恥じ入らせた、と。
この二件のみ。
しかも、両方とも、兄の曹丕からひどい仕打ちを受けるという話です。

当代第一級の文人であり、
興味深いエピソードがないわけではない人物であるにも関わらず、
なぜ曹植は『世説新語』で等閑視されているのでしょう。

また、父曹操や、兄曹丕、甥に当たる明帝曹叡は、それなりの数の故事が同書に記されています。
(亡くなった王粲を、ロバの鳴きまねで見送ろうという曹丕の故事は好きです。)

編集がやや不均衡な感じがして、不思議に思いました。
その理由は、曹植本人の側ではなく、編纂者の方にあるのでしょう。
『世説新語』には先行研究がたくさんあるので、誰かが論じているかもしれません。

2020年5月1日