元白交往詩初探
こんばんは。
先日、自分が使っていた元白応酬詩という言葉は間違いで、
かといって唱和詩と言ってしまうとこぼれ落ちてしまうものがある、と述べました。
それで今日、ふと思い出したのが交往詩という語です。
呉汝煜『唐五代人交往詩索引』(上海古籍出版社、1993年)という本がありました。
この語なら、唱和詩はもとより、交友の中でやり取りされた様々な詩がすべて含まれます。
この語を用いて、小論の題名は「元白交往詩初探」にしようと思います。
「初探」としたのは、まだ先が長いと思ったからです。
白居易と元稹との友情を真に理解するためには、もっと多くの作品を読む必要があります。
また、二人が直接やり取りした詩ばかりでなく、
相手の応酬詩がない(あるいは伝わっていない)作品からも読み取れるものがありそうです。
今回取り上げた作品は、元白とも比較的若い青壮年期のものでしたが、
晩年近くになると、二人の間柄にはまた別の側面が見えてくるように思います。
たとえば、同時期、同じ洛陽郊外の臨都駅で、同じくこれから長安へ赴こうとする友人を見送る詩、
「臨都駅送崔十八(臨都駅にて崔十八を送る)」(『白氏文集』巻57、2751)と、
「酬別微之 臨都駅酔後作(微之に酬い別る 臨都駅にて酔後の作)」(同巻58、2819)とでは、
崔玄亮に対する別れ方に比べて、元稹への態度はずいぶんと冷淡なように感じます。
また、青壮年期、その生き方も含めて全人格的に敬愛しあっていた二人ですが、
ある時期以降、世俗的交流が中心になっていく印象もあります。
退職までの残りの時間、授業を通して元白交往詩を読み継いでいこう。
探究の目当てができて、わくわくしてきました。
2020年9月18日