初めて触れる世界に対しては

こんばんは。

今日、新入生を迎え(直接対面はしていませんが)、
昨年度、新しい地域創生学部に入学した学生たちとあわせて、
これで、従来の人間文化学部・国際文化学科と、新学部の同学科・地域文化コースと、
ちょうど半々の学生数となりました。

学部学科の名称は変わりましたが、
自分にできる教育内容の、目指すところは基本的に同じであって、
それは、他者に対する敬意ということに尽きます。

国際文化学科でよく耳にしたのは、異文化理解という言葉です。
では、地域創生の地域文化コースは、同質な我らが文化の継承を目指すのか。
そうではないでしょう。

ある地域の中に入っていって、
その土地に根付いた生活文化を学ぶということ、
それは、ほとんど異文化を学ぶことと同じなのだと思います。
その地域の人々に対する敬意なくしては、信頼してもらうことはできないし、
そこから何かを学び、その価値を発展的に継承していくこともできないと思います。

こう思い至ったのは、本日宮島を訪れて、
その地域に伝わる文物を専門的に研究している同僚と、
宮島で、神事、代々伝わる文化財、伝統行事等を継承する方々との、
深くかつ親密な信頼関係で結ばれたやり取りを目の当たりにしたからです。
そこでの私はほとんど異邦人で、たぶん学生たちは当初これと同じ位置にあるでしょう。
そこで大切なのは、異文化理解と同じ、相手に対する敬意だと思ったのです。
初めて触れる世界に対しては、かかる態度で臨むのが基本です。

よく、郷に入っては郷に従え、と言いますが、
あれは決して因循姑息な処世術を説いたものなどではない、
異文化理解とほぼ同義の、こういうことであったか、と急に目の前が明るくなりました。

2021年4月5日