同僚への敬意

こんばんは。

毎年この時期、教員によるコースカタログ・シラバスの相互確認を行います。
コースカタログは、授業の目標や概要、カリキュラム上の位置づけ等を示したもの、
シラバスは、毎回の授業内容を記したものです。
今日その作業に一区切りつきました。

知的興奮は、計画を逸脱した瞬間に生まれるものだ、と考える自分としては、
型にはまったような書き方を求められることには食傷気味です。
たとえば、授業によって獲得できる能力を明示せよとか。

それに、実質、確認を求められているのは形式的なことの充足であって、
たとえば、事前学修の欄に空白がないか、とか、
今回だと、前期前半は、オンラインを組み合わせた授業形態となっているか、とか、
そういうことだけを相互確認すればそれで十分なようにも思うのですが、

同僚の方々の授業内容を縦覧すると、面白く感じるものが多いのです。
同じ学科に属しながら、様々な地域・学問領域を研究している同僚たちです。

わたしたちは、政治家でも、行政職の人でもないのだから、
学内政治は無しにして、行政的なにおいのする会議は早々に切り上げて、
その時間を、それぞれの研究内容を紹介しあうことに充てたらどんなに楽しいだろう、
そうすれば、少なくとも不要な争いは減り、相手への敬意が増すのではないか、
とぼんやりとした夢のようなことを思いました。

大学教育の方法論や教育組織といったことには流行り廃りがありますが、
学術研究は、消長が無いとは言いませんが、それよりはずっと息の長いものです。

この二十年余りを振り返ってみただけでも、
もっと有効な時間の使い方があったのではないかと残念に思います。

とはいえ、大学という狭い世界ではあれ、様々な人間模様を見ることができて、
文学研究に資するものを多く得ることができたとは思っています。

2021年3月23日