曹植「当車以駕行」の不可解さ(承前)

一昨日、曹植「当車以駕行」の不可解さを挙げましたが、
それらの箇所について、先人がどう注釈しているか当たってみました。

「主人離席」の「主人」について、黄節はこう注しています。
(説明の仕方はこちらでアレンジを加えています。)

賓客の歓待について詳細に記す『儀礼』燕礼に、
「賓」の動作に対応させて「主人」の所作が記されているが、
その鄭玄注に「主人とは、宰夫なり」とあることから、
本詩にいう「主人」も「宰夫」すなわち賓客への供応を司る者であろう。
ただ、魏の宴会儀礼においても、「主人」が「宰夫」を指すのか、
あるいは曹植の自称なのかは不明である、と。

その上で、「主人離席」とは、
同『儀礼』燕礼にいう「賓拝酒、主人答拝(賓 酒を拝し、主人 拝に答ふ)」
すなわち、賓客への対応時のことをいうのだとしています。

これなら、「主人が席を離れる」ことに不可解さはありません。
この場合は、宴席の主催者とは別に「主人」がいるということになるでしょうか。

2025年10月13日