曹植の焦燥感

こんにちは。

先週末、やっと『文選』巻37所収曹植「求自試表」の李善注を読み終わりました。
李善が注していない語句で、更に語釈が必要なものもありそうですが、
まずひととおり本文を耕し終わったかというところです。

この文章、最初の部分は非常に端正に整った構成を取っている一方で、
書き進められるほどに、最初の端正さを打ち破って作者の筆が走っていくようです。
このことは、いずれ通釈をしながら明瞭に見えてくるでしょうが、
対句を意識して見渡すと、おぼろげながらも既にそう言えるように思います。

先に、この文章が書かれた背景について触れたことがありますが、
そこで述べたことは、一篇中の文体の推移のあり様からも推し測れるかもしれません。

明帝が即位して間もない太和二年(228)、
魏や呉との関係が緊迫の度を増していたこの時期、
曹植が、王朝の中に自身の足場をどう獲得していこうとしていたか、
彼の焦燥感を生々しく伝える文章のようです。

2021年2月1日