未解明の境界線を示す
こんばんは。
今日から「贈白馬王彪」詩の訳注作業に入ったのですが、
解題、及びその序で早くも躓いてしまいました。
たとえば、曹彪が白馬王となったのは、
『三国志』巻20「武文世王公伝(楚王彪)」によれば、黄初七年なのですが、
本作品の序には、この詩が成ったのは黄初四年であることが示され、
その詩題にも「白馬王彪に贈る」と明記してあります。
正直、私はこうした考証があまり得意ではありません。
旧中国の学者の注釈書には史実が非常に詳しく記されているので、
それらを手掛かりに、ひとおりの納得がいくまでは調べはするのですが。
思いがけないところから、興味深い考察の種が拾えたりすることもありますし。
もちろん史実の考証だけではなく、語釈でもしょっちゅう頓挫します。
そうした場合は、仕方がないから両論併記です。
先には、語釈は簡潔なのが最上、などと豪語したばかりなのに、
言行不一致が恥ずかしい。
ただ、分かる分からないの分岐点は明記しておきたいと常々思っています。
たとえば、自分が不分明な点を究明したくて、
その道の大家といわれるような方々の本を紐解いてみたところ、
核心部分に近づくと霧に取り巻かれたようになってしまうようなことが結構あります。
そんな時、ここから先は未解明だと明記してくれていたら、と思うのです。
不分明の境界線を引いておく。
そうすれば、後から来た人の役に立てます。
2020年4月17日