歌声に満ちた世の中
漢魏晋楽府詩一覧を、先ほどやっと公開しました。
おそらく入力漏れや誤字脱字など、たくさんあるだろうと思います。
(直前になっても、ごっそり落ちていた部分を見つけて急遽補ったりしました。)
もし、ご利用になる方がいらっしゃって、
そうした不備を見つけられましたら、ご一報いただけるとありがたいです。
(その他の資料などについてもご指摘をお待ちしております。)
詳しい説明は、同エクセルファイルの「説明」シートに記しております。
「データ」を自由に「並べ替え」てご利用いただければ、有益さが増すだろうと思います。
この楽府詩一覧を作ろうとした趣旨などについてはこちらに少し記したとおりですが、
漢魏晋の時代、「相和」「清商三調」に限らず、
実におびただしい歌が巷に流れていたことを実感しながら作業を進めてきました。
たとえば、古くは「毛詩大序」(『文選』巻四十五)に、
上以風化下 為政者は、それによって下々の者をそれとなく感化し、
下以風刺上 下々の者はそれでもって為政者を遠回しに批判するのだが、
主文而譎諌 美を中心に据えて、婉曲に諌めるので、
言之者無罪 これを言う者には罪は無く、
聞之者足以戒 これを聞く者には十分に戒めとなる。
とあるように、王朝でも、民間でも、人々は歌にのせてその思いを主張しています。
これはすでに知っていたことではあったのですが、
それとは別に、このように声に出して、しかもメロディをつけて自分の考えを詠ずることは、
心身ともに、とても解放感を覚えることだろうと思いました。
言葉が身体の実感とともにあるということです。
それに、歌声に満ちた世の中は、生の言葉をぶつけ合う世の中よりも息がしやすそうです。
たとえ、時代の過酷さや日常の不便さが現代の比ではなかったとしても、
この一点に限っては憧れます。
それではまた。
2019年8月14日