特定の宛先の有無により

本日、曹植「贈丁廙」詩の訳注を公開しました。

先にも述べたとおり、この詩は「箜篌引」との間にいくつかの類似句を持っています。

このたび、サイト内検索ができるようになりました。
(アプライドの濱田様、ありがとうございます。)
パソコンなら画面の右上に、iPad等なら上の方に、検索の窓が開いています。
もしよかったら「丁廙」「箜篌引」といったキーワードで検索してみてください。

両作品は、非常に近い時期、もしかしたら同じ機会に作られたのかもしれません。

ただ、双方を比較してみると、
不特定多数の人々に受容されることを想定した楽府詩と、
ある特定の人物に向けて贈られた徒詩との違いが見えてくるようです。

両作品とも、側近に対する曹植の苦言めいた言葉を織り込んでいるのですが、
「箜篌引」の方は、古典をひねって諧謔を交えたような言い方で、
「贈丁廙」の方は、真摯に相手に語りかける口調です。

なお、曹植は、誠実さと冗談好きとをあわせ持つ人であったようで、
たとえば、丁廙(字は敬礼)に宛てた書簡「与丁敬礼書」(『曹集詮評』巻8)の中には、
「大笑いしながら言辞を吐く」といった表現が見えています。

それではまた。

2020年4月3日