遠くからの便り

先日の公開講座においでになった方から教えていただいた本、
若林力『江戸川柳で愉しむ中国の故事』(大修館書店、2005年)が、遠く米沢の古書店から届き、
その中に、「山形県能楽の祭典」9月8日(日)入場無料のちらしが入っていました。

演目は、仕舞「葵上」、連吟「俊寛」、舞囃子「胡蝶」、こども狂言「盆山」、とあります。

もう期日は過ぎているので、ちらしの役割は終えていますし、
自分には縁の薄い日本の古典芸能ばかりなのですが、
こうした芸能を楽しむ人々が住む町に、あこがれの気持ちを持ちました。

六条御息所の怨霊の呪いや、離島に取り残される僧侶の怒りと絶望があれば、
梅の花と戯れる蝶の妖精の喜びと感謝、盆栽を盗もうとした男へのからかい等もある。
感情表現が陰に陽に全開だなあと興味深くちらしを読みました。

そして、届いた古書には書き込みがありました。
古書としての価値は下がると聞きますが、前の持ち主と話をしているようで楽しい。

送られてきた本体もまた、江戸の人々が中国の故事とたわむれている様子がうかがえる、
読むこと、知ることの愉しみがたくさん詰まっていそうな本です。
そういえば、自分は古典とこんなふうに付き合ったことがないかもしれません。
(いつもそれは全力で取り組む相手であって、それが私には面白くてたまらないのですが。)
このような新しい楽しみをひとつ分けていただき、ありがたいことです。

それではまた。

2019年11月18日