魏晋時代の押韻
本日、曹植「丹霞蔽日行」の訳注稿を公開しました。
今回から、脚韻についても調べ、記入していくことにしました。
すでに公開している訳注稿にも追記していく予定です。
近体詩が成立する以前のこの時代ではあるのですが、
後に『切韻』系韻書に集約されていくような音韻の体系が、
この頃すでに認められるらしいということを、
参加している『宋書』楽志の読書会の中で知りました。
そこで、それを曹植作品においても検証してみようと思ったのです。
韻目は、北宋初めに成った『広韻』に依って示しますが、
これはあくまでも目安として記すにすぎません。
『広韻』で「同用」とされず、
『平水韻』で同じ韻目とはなっていなくても、
また、小川環樹先生が「古詩通押」としていないものも、*1
曹植においては通じて押韻しているらしいものは、「、」でつなぎ、
韻が切り替わっていると見なせるものについては、「。」で区切っています。
おそらく、先人の研究成果を追認する結果となるだろうと予測されますが、*2
曹植という、この時代としては比較的多くの作品を残している人物の作品全体を通して、
当時の押韻情況を確認することには意義があろうかと思います。
2024年2月11日
*1 小川環樹「唐詩の押韻 および韻書」(『中国詩人選集』別巻『唐詩概説』岩波書店、1958 年第 1 刷、1979 年第 20 刷に収載)を参照。この一覧表を打ち出したものを、こちらに公開しています。
*2 門外漢の手元にあるものとして、于安瀾『漢魏六朝韻譜』(河南大学出版社、2015年)、羅常培・周祖謨『漢魏晋南北朝韻部演変研究』(中華書局、2007年)。