対面でない授業

こんばんは。

慣れないオンライン授業も、前期がやっと来週で終了します。
やってみて、学生の顔が見えない授業も悪くないという印象を持ちました。
顔が見えないから、その分、文字によるやり取りをかなり踏み込んで行わざるを得ない、
それが自分には却ってよかったように感じるのです。

文学のような分野だと、物理的距離はあまり問題にはなりません。
むしろ、場合によっては、面と向かって言うのは照れるようなことでも話せます。
それは、真に大切に思っていることを書いて表現するということと近いように感じました。
もちろん、受講生の全員に理解されたとは思っていません。
ですが、質疑応答を重ねながら、一部の学生には届いたと感じる瞬間はありました。

先々週は、阮籍の思想と文学について話しましたが、
彼の「獼猴賦」*に興味を持ってくれた学生たちがいたことはうれしい驚きでした。
また、彼はなぜ、41歳で司馬懿の従事中郎となるまでまともに出仕しなかったのかという質問は、
きちんと話に耳を傾けてくれていたからこそ出てきたものだと思います。

とはいえ、リアルな書物に触れる機会が極端に少ないのが現状ですから、
授業で聞いたことを、自分なりに調べつつ、考察を深めるということはあまりできません。
双方の良さを組み合わせることができれば面白いと思います。

2020年8月6日

*阮籍「獼猴賦」については、よろしければこちらの学術論文№1をご参照ください。