少しずつ明らかに

こんばんは。

少しずつ読み進めている「求自試表」(『文選』巻37)ですが、
李善注に従って読むほどに、明帝が即位して間もない頃の曹植の思いが明らかとなってきました。

やはり、この上表文は、彼の「惟漢行」と緊密に結び合っています。
明帝の歴史的位置を、周の成王になぞらえて表現する句が踵を接して現れるのです。
すると、成王を補佐した周公旦のことも、当然これに付随して想起され、
そこに浮かび上がってくるのは、曹植が望む、魏王朝における自身の立ち位置です。

王朝の中で役割が与えられないという自身の不遇を訴えるよりも、
自身が明帝を補佐する立場となることは、歴史的必然性として主張されているようです。
幼少期からその将来を嘱望されてきた人ならではの、迷いの無さです。

それにしても、李善は実に多くのことを示唆してくれます。
それにかかる時間は、現代社会において物事が進む速度とは大きくかけ離れていますが、
これはどうしても必要なことです。

2020年12月3日