旧稿の訂正
こんにちは。
以前、通釈のみ公開していた「娯賓賦」(01-17)について、
その語釈を補った暫定完成版を本日公開しました。
本作品に興味を持って通釈を試みたのは2020年8月上旬でしたから、
それからほとんど二年間のブランクを経ての語釈でした。
すると、以前には語釈が必要だとは思いもよらず、
結果、誤訳をしてしまっているところもあることに気づきます。
その一つが「仁風」という語です。
以前はこの「風」を、「気風」や「風潮」の「風」として訳していましたが、
民を教化して導くという方向での「風化」と捉えて修正しました。
そして、以前こちらで用例を探しあぐねていた表現についても、
用例として曹植「娯賓賦」があることを追記しました。
こんなことにも気づけなかったことが恥ずかしい限りですが、
二年前の自分よりも、少しは読めるようになっているのを喜ぶことにします。
それにしても、当時の曹植はどれほど幸福な人間関係の中にいたことか。
「娯賓賦」での曹植は、何の疑念もなく、父曹操を尊敬し、兄の曹丕を敬愛しています。
後に、兄との関係が突如として暗転したことを、曹植がどう捉えたか、
そのように認知する曹植の発想はどこに由来するのか、
この建安年間に補助線を引いてこそ見えてくるのだろうと思います。
2022年6月27日