「惟漢行」訳注稿の修正
研究発表を予定していた六朝学術学会例会は、中止になりました。
これにより、検討を重ねる時間が与えられたと思っています。
発表で取り上げる予定だった曹植の「惟漢行」、
先に訳注を公開しましたが、本日、その一部を修正しました。
修正したのは、最後から2句目「済済在公朝」の読みです。
先にはこれを「済済たる(多士)が、公朝に在る」と捉えていたのですが、
これではどうにも上の二字の読みが落ち着きません。
「済済」は、この配列だと普通、「在」にかかる連用修飾語と捉えられますから。
だから、「済済」の下に「多士」を補って読んでいたのですね。
そうしたところが、「済済として公朝に在り」とすんなり読めて、
しかも、続く句「万載 其の名を馳す」の「其」が指すものも特定の一人に絞られる、
そんな「済済」の典拠が『詩経』大雅の中にありました。
とはいえ、前に記した解釈にもまだ捨てきれない部分があります。
そのようなわけで、新しい解釈は赤字で、以前のものは薄いグレーで示しました。
(なお、追記部分はブルーで示すこととします。過日言及した「送応氏二首」其二など)
この「惟漢行」という作品、特に最後の四句が読みづらいです。
ストレートな「薤露行」とは違って、言葉に表せていない部分がありそうです。
それではまた。
2020年2月26日