仙人になった隠者

こんばんは。

以前、魚豢『魏略』に記された、焦先という人物に触れたことがあります。

『三国志(魏志)』巻11・管寧伝に、
胡昭という、権力者と一定の距離を保ちながら生きた人物の伝が記されていて、
その裴松之注に『魏略』を引き、同類の人として焦先のことが紹介されているのです。
(具体的な内容は、こちらの学術論文№41をご覧いただければ幸いです。)

同裴注には皇甫謐の『高士伝』も引かれていて、
そこでは隠者的な人物として捉えられていた焦先ですが、
このたび、『神仙伝』巻6において、仙人となった焦先に再会しました。
少し長いので、別途こちらに全文を、訓み下し、通釈とともに記しておきます。

現代にもし焦先が生きていたならば、彼は社会の中に居場所が得られたでしょうか。
そうした人のために、隠者という、現実社会に隣接する立ち位置を確保し、
更には、昇仙の道まで用意した中国中世の人々に対して、
私は心の底から感嘆します。

2021年11月8日