元稹の応酬詩

こんばんは。

元稹の白居易詩に対する応酬詩には、一見不機嫌なのかと疑いたくなるようなものがあります。
たとえば、先にも取り上げた「酬楽天八月十五夜禁中独直玩月見寄」がそれです。

ただ、この元稹の応酬詩を取り上げて論文化しようとすると、
これは、それほど単純化できるような感情ではないということを痛感させられます。
先行研究の多くが、暗黙裡に二人の友情を過度に美化していることには疑問を感じますが、
だからといって、元稹が白居易にただ単に反発しているだけではないことは、
同時期に交わされた彼らの他の唱和詩や、
白居易の「和答詩」とそのもととなった元稹の詩から明らかです。

憐れむかのような白居易の同情に対する微量の反発心と、
自己卑下して自らを笑いものにする道化的な要素と、
この他にも様々な気持ちが混じり合い、
あの簡単に解釈されてしまうことを拒むような、
なんとも捉えどころのないニュアンスとなったのでしょうか。

2020年9月13日