曹魏明帝に関する先行研究

こんばんは。

曹植「惟漢行」に関する考察を書き終わり、
懸案の、明帝と曹植との関係についての先行研究を探し始めました。

今日は、落合悠紀「曹魏明帝による宗室重視政策の実態」(『東方学』126、2013年)を読み、
いくつかのことを教えられました。

まず、明帝期には宗室を重視する人事が行われていて、
従来の研究では、それは名族を押さえるために設けられた政策だとされてきたこと。

ですが、その実態としては、宗室や外戚を適切に優遇するというもので、
彼らに大きな力を与えて、台頭する名族に対抗しようとするような意図は認められない、
ということを、落合氏は明らかにされていました。

いずれにしても、明帝にそのような政策があったとは知りませんでした。

それならば、あれだけ曹植が苦しんだのは何だったのだろう、
なぜ明帝の恩恵が、叔父の曹植には及ばなかったのか、いよいよ不思議でなりません。

そこで、落合氏が引用しておられた、
津田資久「曹魏至親諸王攷」(『史朋』38、2005年)を取り寄せることにしました。

津田氏の論文には、かつて魚豢『魏略』について考察した際、非常に多くを教えられました。
 (こちらの学術論文№41の注(2)ほかをご覧いただければ幸いです。)

今回も、場合によっては、抜本的に考え直す必要を迫られるかもしれません。
どきどきしながら、複写文献の到着を待つことにします。

2020年8月19日