『宋書』楽志三所収「大曲」について

怒涛のような夏が過ぎ去りました。
この間、次々と目の前に迫りくる物事に取り組みながら、
平常心でいつもの作業を進める、ということができませんでした。
それができるだけの底力を身につけたいのですが、
一方で、仕方がないと思う気持ちもあります。
(ただ、もとの態勢に戻るのにエネルギーが要ります。)

さて、八月の終わり、
中国承徳市で行われた楽府学会の国際学術検討会で、
「探討晋楽所奏“清商三調”与“大曲”的関係」と題する発表を行いました。
(このような機会を与えてくださった方々に深く御礼申し上げます。)

その際に提示したスライド資料をここに掲載します。
(発表の原稿は、大学時代の友人陳麗蓉さんが翻訳してくれました。感謝。)

結論は、次のとおりです。
(内容の一部は、断片的ながらこの雑記で何度か述べています。)

『宋書』楽志三に連続的に記されている「清商三調」と「大曲」について、

1、これらは、編者・編成時期ともに異なる二つの歌曲群である。
2、「清商三調」は、『宋書』楽志三に示すとおり、確かに荀勗が選定したものである。
3、「大曲」は、「清商三調」の成立後、張華によって編成された可能性が高い。
4、『宋書』楽志三は、この西晋宮廷音楽の最終形態を記録したものである。

その論拠については、スライドにその一部を載せています。
(ただし、史料の具体的な文面等はスペースの関係上、割愛しています。)

2023年9月14日